目的別授業
2020.04.06
たくさんの学生がインターカルトを選んでくれて、日本語の勉強にいそしんでいるわけですが、
「日本語を勉強する!」と言っても、学生の目的はそれぞれです。
「JLPTについて中心に勉強したい!」
「本をじっくり読みたい!」
「もっと会話の練習がしたい!」
そんな様々な希望を持つ学生に合わせて、インターカルトでは目的別授業を行っています。
授業の名前をちょっとだけ紹介させてもらうと、
「JLPT N〇文法/読解/語彙」(これはN1,N2,N2準備の3種類があります)
「就職サポートプログラム」
「すてきに話そう!」
「ビジネス会話」
「トラブル!あなたならどうする?」
「小説・エッセイ」
「よんでみよう!やさしい?しんぶん」など。
他にも、
「プレゼンなら任せろ」
「ジブリの森」
「アフレコに挑戦!」
はい、充実のラインナップ!面白そうなタイトルがズラリ!ですよね。私も授業を受けてみたいです。
そんな数ある目的別クラスの中で、私は前学期、「からだで日本語!」というクラスを担当しました。
授業名の通り、からだを使って日本語でいろいろなことをするクラスで、授業は全部で9回。一週間に一コマ、50分。学校のラウンジを借りて、広いスペースで行いました。
特に書きたいのは、授業の後半戦について。
グループで、指定された絵から逆算してドラマを作る、「どうして?から始まる物語づくり」という活動をやってみました。
教師側が準備した写真と、最後の一言を基にさかのぼって物語を作ります。
起承転結ができたら、それをからだと日本語を使って表現してみます。
6.7人くらいでのグループ活動だったので、最初は、
『まとまらないかな。いや、逆にアイデアが全然出ないかもしれないな』
『制限時間内にすべてを終わらせるのは難しいかもしれないな』
『そもそも学生は楽しんで取り組んでくれるかな』
色々不安だったんですが、ふたを開けてみると、(やっぱり)それらの心配は稀有に終わりました。
学生の反応や行動にこちらが学ぶことがとても多く、大変興味深いクラスでした。
私が一番印象的だったのは、普段の教室で行う授業や、クラスの前半戦で行ったジェスチャーゲームなどのウォーミングアップではわからなかった、学生の様々な一面を見ることができた(ように思う)ことです。
学生の参加の仕方は様々でした。
・クラスメートのアイデアを積極的に肯定したり、全体のアイデアを前向きに整理しようとする学生
・おとなしそうなイメージだったんだけれど、どんどんアイデアを出す学生(最後はグループを仕切っていました!)
・学生のアイデアを一生懸命理解しようとする学生
・積極的に話すわけではないけれど、しっかりと全体の中での自分の役割を見つけ、それを全うする学生
私が予想していたよりも、いろいろなことをスッと決め、準備して、それぞれのグループが全然違う物語を演じてくれました。
例えば、
「サンタクロースは疲れてしまいました。」
この一言と、ベッドに腰を下ろしているサンタクロースの後ろ姿の写真を提示したときは、
あるグループは、太りすぎたサンタクロースに、働きたくないとストライキを起こしたトナカイたち。そのせいですべてのプレゼントを一人で届けなければならなくなったサンタクロースの顛末(下の写真がです。)
あるグループは、浮気相手と過ごしているのを偶然奥さんに見つかってしまい、豪快にひっぱたかれて、叱られて凹んでいるサンタクロースを表現していました。(ひっぱたくのはスローモーションで表現していました。下の写真です。)
回を重ねるごとに学生たちは活発になり、どんどんアイデアを味付けしているように見えました。
クラスの最終日に学生に感想を書いてもらいました。
「自分たちで考えてみんなと協力して物語を作るのが楽しかった。」
「いいアイデアが思いつかないと大変っちゃ大変だけど、学生と話したり考えたりするのは楽しい。」
「何度も同じことをやるのはつまらない」
「私は筋肉が固いので、ラジオ体操が大変だったけど、授業は楽しかった。」
「からだを動かすのが、単純に楽しかった。」
などなど。ふむふむ、なるほど。
感想はそれぞれでしたが、楽しかったという感想が多かったので、やってよかったです。
私もとても楽しかったので、今後もこのクラスを改善し、続けていけたらいいなと強く思いました。
マイナスの感想も、今後に生かす大切なヒントです。感謝です。
私が今回の目的別クラスを通して感じたこと。
それは、日本語「を」勉強するだけじゃなくて、日本語で何かする、日本語「で」勉強する(遊ぶ、に近い感じだったけれど。)、そういう機会が増えるように意識していきたいということです。
学生のみなさんのアイデアや想像力は素晴らしかったです。
日本語で何かに取り組むときに、言いたいこと、相手に伝えたい日本語が出来るだけ正確にアウトプットできるように普段の教室での授業も工夫していけたらいいなと思いました。
学生のみなさんに負けないように、私も少しずつでもレベルアップしていけたらと思います!